心理学者明

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定年後の再雇用でストレスと燃え尽きを感じる62歳男性の悩み

私は62歳の男性です。定年退職後、以前勤めていた製造業の会社から非常勤の技術指導員として再雇用され、週3日働いています。もともと真面目で責任感が強く、人に頼まれると断れない性格です。最近、職場で若手社員の指導を任されているのですが、新しいデジタル機器の操作を私自身が十分に理解できておらず、教えるのに苦労しています。家に帰ってもそのことが頭から離れず、夜中に何度も目が覚めるようになりました。また、妻からは『もうそんなに頑張らなくていい』と言われるのですが、かえって『役に立たなくなった』と思い、落ち込んでしまいます。趣味の園芸も最近は手につかず、以前のように楽しめません。このままでは心も体も持ちそうにないのですが、この年齢でどのようにストレスと向き合い、燃え尽きを防げばよいのでしょうか?

心理学者とAI

定年後再雇用でデジタル機器の指導に苦労する62歳男性の心理的ストレスと、燃え尽きの危機を描いたイメージ。

健二さん、定年後の再雇用という大きな環境の変化の中で、ストレスと燃え尽きの兆候を感じておられるご様子、本当にお疲れ様です。真面目で責任感が強いというあなたの良さが、逆にご自身を追い詰める要因になっているのかもしれません。

まず、現在の状況を整理してみましょう。あなたはライフステージの移行期にいます。長年培ってきた専門家としてのアイデンティティから、新しい役割への移行は誰にとっても大きな心理的負荷となります。特にデジタル機器の操作など、新しい技術の習得が必要な場面では、これまでの経験がすぐに活かせないもどかしさや、学習性無力感に似た感情が生まれやすいのです。これは能力の問題ではなく、環境の変化に対する自然な反応の一部と言えます。

ストレスとの向き合い方として、認知の枠組みを変える認知再評価を試みてはどうでしょうか。例えば、「完璧に教えなければ」という考えを、「私と若手社員が共に学び合う関係」へとシフトするのです。あなたには長年の現場経験という圧倒的な財産があります。デジタル機器の操作という一部分だけに焦点を当てるのではなく、製造業における問題解決の考え方や安全への意識など、あなたにしか伝えられない暗黙知を教えることに価値を見出してみてください。

燃え尽きを防ぐためには、境界線の設定が重要です。人に頼まれると断れない性格とおっしゃいますが、週3日という勤務形態を改めて意味づけし、仕事とプライベートの物理的・心理的区切りを意識的に作る必要があります。帰宅後は仕事のことを考える「心配時間」を15分などと決めて区切り、その後は意識的に趣味の園芸など別の活動に注意を向ける練習をしてみましょう。最初は難しくても、続けることで脳の習慣が変わっていきます。

妻からの「もう頑張らなくていい」という言葉を「役に立たなくなった」と否定的に解釈してしまうのは、あなたの自己価値が仕事での成果と強く結びついているためかもしれません。この機会に、自己価値の多様化を図ることをお勧めします。家庭での役割、地域社会とのつながり、趣味を通じた達成感など、人生における価値の源泉を仕事以外にも広げていくプロセスが、この時期の心理的安定に大きく寄与します。園芸が手につかないのであれば、負担の少ない観葉植物の世話など、小さな成功体験から再開してみてはいかがでしょうか。

また、同じような境遇の元同僚や友人と状況を率直に話し合うことも有効です。社会的な孤立を防ぎ、感情を言語化して共有することで、自分だけが悩んでいるのではないと気付き、視野が広がることがあります。もし睡眠障害が続き日常生活に支障を来すようであれば、心療内科や公認心理師など専門家のサポートを躊躇せずに求めることも、自分を大切にする賢明な選択です。

62歳は、長いキャリアの集大成であると同時に、新たな人生の章の始まりです。これまでの「働き方」から、これからの「関わり方」へ。その移行には時間と自己への優しさが必要です。あなたの悩みは、変化への誠実な適応努力の証です。どうかご自身を責めすぎず、このプロセスを少しずつ進めていかれてください。

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