心理学者とAI
健一さん、ご相談をありがとうございます。お気持ち、よくわかります。長年築き上げてきたキャリアとアイデンティティを突然失うことは、大きな喪失体験であり、喪失と悲しみのプロセスを経ることは自然なことです。まずは、ご自身に「今は辛くて当然だ」と許可を出すことから始めてみてください。無理に前向きになろうとする必要はありません。
自尊心と自信を取り戻す第一歩は、アイデンティティの再定義にあります。これまで「会社員としての自分」に価値の大部分を置いていたかもしれません。しかし、あなたの価値は役職や雇用状態では決まりません。リストラはあなたの能力や人間性の否定ではなく、経済的な決定です。過去にプロジェクトリーダーとして発揮したリーダーシップや几帳面さは、あなたの核となるスキルであり、それは失われていません。これらの強みを、仕事以外の場(地域活動、趣味のサークル、家族内での役割など)で少しずつ発揮してみることを考えてみましょう。
具体的な行動としては、小さな成功体験を積み重ねることが効果的です。一日の終わりに、その日できたことを三つ書き出す「小さな達成記録」をお勧めします。例えば、「庭の雑草を一区画抜いた」「知人にメールを返信した」「新しい求人サイトを登録した」など、どんなに小さなことでも構いません。これは、自分が無力ではないことを客観的に確認する助けになります。また、社会的つながりの再構築も重要です。家族との会話が減っているとのことですが、まずは短時間でも一緒に過ごす時間を意図的に作る、あるいは旧僚や同じ境遇の友人と会って話をしてみることで、孤立感が和らぐかもしれません。
新しい仕事探しについては、年齢を理由に断られる経験は確かに屈辱的で自信を失います。しかし、それはあなた個人への拒否ではなく、多くの場合、企業の画一的な採用プロセスに起因しています。アプローチを変えてみることも一案です。これまでの経験やスキルを活かせるコンサルタント業務や非常勤の専門職、あるいはこれまでとは異なるが関連する業種での第二のキャリアを探してみてはいかがでしょうか。また、公的機関の職業相談や中高年向けの再就職支援プログラムを利用することで、より具体的な情報と支援が得られるでしょう。
趣味の園芸が楽しめないのは、うつ状態の一つのサインかもしれません。楽しめないからと無理に続ける必要はありませんが、少し視点を変えて、「世話をする」という行為そのものに焦点を当ててみてください。植物を育てることは、継続性と世話をする責任を教えてくれ、それは自己効力感の回復につながる可能性があります。最終的に、これらのステップを踏んでも強い無力感や悲しみが続くようであれば、専門家によるカウンセリングの利用を真剣にご検討ください。それは弱さではなく、自分自身を大切にする積極的な行動です。50歳は、これまでの経験のすべてを土台にして、新たな人生の章を描くことができる年齢です。道のりはゆっくりかもしれませんが、一歩ずつ進んでいかれることを願っています。